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【富坂聰 真・人民日報】習近平氏の権力ゲームではない、憲法改正が示す政治の左傾化 (2/2ページ)

 だが、今回は少なくとも30以上の改正点があり、そこには現在の中国をどう位置付け、どこに向けて進み、目的地をどのように修正したかが反映されている。

 噛み砕いて生活者目線に落とせば、経済発展と国民の生活を「量から質へと転換」するとか、「美しい生活を」というスローガンを掲げたり、脱貧困を社会の価値観として前面に押し出すといったことだ。

 19大(第19期中国共産党全国代表大会)直後の政治局会議から、2中全会(第19期中国共産党中央委員会第2回全体会議)を経て党外人士・民主党派に対する説明と意見の聞き取りを行い、2月の末にメディアを通して内容が国民に示されている。

 改正の中身が公開されたその日、私は北京にいてエリートサラリーマンたちとランチを共にしたが、印象に残ったのは、彼らが一様に警戒感をもってこれを受け止めたこと。

 キーワードは政治の左傾化だが、そこには時代を逆流させるようなにおいがある。

 重要なことは、習氏がそれを単なる権力ゲームとしてやっているのではなく、具体的な危機感をもっていると感じていること。

 次回はその危機感について触れたい。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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