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【富坂聰 真・人民日報】情報機関中心で進む対北外交、日本にとっては厳しい環境に (2/2ページ)

 これは中国も同じ。楊氏に与えられた新たな中央外事工作委員会弁公室主任は党内で外交を強くハンドルするための肩書で、当然のことながら外交部とは別に情報系の動きも行う党中央対外連絡部(中連部)も従えることになる。

 ちょっと深読みが過ぎるのかもしれないが、要するに各国の情報系の判断が一致して、それぞれの利害に接点が生まれたことで、事態が大きく動いているとも考えられる。

 だとすれば、そうした情報の受け皿がない日本には厳しい環境だ。

 単に局面が変わったからといって北朝鮮との距離を詰めてゆこうと焦れば、さらに大きな敗北が待っているかもしれない。

 なかでも最も懸念されるのが拉致問題で安易にアメリカの協力を得ようとすることだ。

 トランプ政権が米朝会談に前向き--少なくとも現状はそう見える--なのは、アメリカ、もしくはトランプ政権にとってメリットがあるためだ。

 その場合、本来、日本として受け入れ難い拉致被害者に関する調査結果を、事情を良く理解しないアメリカの仲介によって飲まされる可能性が指摘される。

 その上もし、朝鮮半島の非核化に対して相応の資金の拠出を求められるのならば、ダメージは計り知れない。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。