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北朝鮮で給料が10倍になるも誰も喜ばない理由 (1/2ページ)

 北朝鮮は、今年からすべての工場、企業所でも生産担当制を義務付けた。それにより、労働者の給料が10倍になった。しかし、それを喜んでいる人は誰もいないという。(丹東=カン・ナレ記者)

 ■「生活費」と乖離

 平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、生産担当制の義務化により、労働者、事務員の最低給与が既存の10倍の2万北朝鮮ウォン(約260円)に上げられた。この生産担当制の中身について、情報筋は言及していない。

 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は今年4月、新義州(シニジュ)化粧品工場が市場と共同で生産活動を行い、従業員への配給が増えたと報じているが、生産担当制の義務化と関連がある可能性がある。

 (参考記事:市場とタッグを組んで儲ける北朝鮮の国営化粧品工場

 通常、給料が10倍になれば、市場でモノを買う人が増えて、物価や為替レートに変化が生じたりするはずだが、そのような現象は見られなかった。

 その理由を情報筋は次のように説明した。

 「市場の基準通貨はすでに中国人民元になっている。また、他に先駆けて2013年から生産担当制を試験的に導入した単位(工場、企業所、機関)で働いている人は、給料を他より多くもらっていた」

 理由はそれだけではない。北朝鮮の市場でのコメ1キロの値段は5000北朝鮮ウォン(約65円)前後であることを考えると、給料全額をつぎ込んでもたった4キロのコメしか買えない。10倍になっても、平均的な4人家族の1ヶ月の生活費50万北朝鮮ウォン(約6500円)とは依然としてかけ離れた額なのだ。

 そもそも、給料は一律に引き上げられたわけではないようだ。生産を行い売上がある企業は、労働者の給料引き上げの財源があるが、生産が止まってしまっている地方の工場、企業所には財源がないのだ。

デイリーNKジャパン
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