記事詳細

【長谷川幸洋「ニュースの核心」】「コワモテ」と「ヤサガタ」使い分ける、トランプ氏一流の交渉術 (2/2ページ)

 大統領は「コワモテ(強面)」と「ヤサガタ(優形)」の2役を使い分けているのだ。

 最大限の圧力をかけたと思ったら、首脳会談の申し出を受け入れる。だが、相手が調子に乗ったと見るや、すかさず中止を宣告する。そういう展開に、使い分けが明白に表れている。

 それは、関税引き上げを宣言したかと思えば結局、留保した中国との貿易戦争、あるいは脱退を言ったかと思えば、復帰検討を言い出した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題でも、同じだ。

 トランプ氏は一人二役を演じながら、相手を翻弄して、いつの間にか自分のペースに引き込むのを狙っている。

 これくらい「変身実績」があるのだから、朝日新聞もいい加減、「トランプ流の交渉術」に気がついたらどうか。思い込みで批判する浅薄な記事など、読む価値がない。

 あえて大胆に予想しておこう。正恩氏はトランプ氏の甘いささやきに乗って、また調子に乗って、自分たちに都合のいい話を首脳会談で持ち出すに違いない。それでも、多少は譲歩する。

 トランプ氏は、それをピシャリとはね付ける。2度目の会談日程は決まらないかもしれない。それで、次の譲歩を引き出す。ヤサガタはコワモテで動揺を誘うための呼び水なのだ。途中経過で一喜一憂する必要はない。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

関連ニュース