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【有本香の以毒制毒】正恩氏は「北のシンガポール」を作れるのか? 両国を分ける決定的な違い (1/2ページ)

 米朝首脳会談の取材のため、シンガポールへ行ってきた。会談の真の評価は、後日にならないと見えてこないので、今週の本コラムでは、会談の舞台となったシンガポールという国に注目し、国と国民の関係などを考えてみたい。

 「明るい北朝鮮」-口の悪い日本人は、シンガポールという国をこう揶揄(やゆ)する。3代目となる現首相、リー・シェンロン氏の父、故リー・クアンユー氏が1965年に建国して以来、事実上の独裁体制が続いており、報道や言論の自由が制限されていることへの皮肉である。

 リー父子による世襲的統治(=2代目に血族でないゴー・チョクトン氏を挟んだが)への皮肉も含んでいる。

 一見、気が利いていそうなこの比喩には根本的な誤りがある。シンガポールが「明るい北朝鮮」であるなら、北朝鮮は「暗いシンガポール」なのか、というとけっしてそうでないことは明らかだ。

 両国を分ける決定的な違いは「経済力」にある。

 シンガポールの国民1人あたりGDPは5万7713ドル(約635万円)で、日本よりも高い。一方の北朝鮮は、IMFのデータにも載っていないが、1800ドル(約19万円)程度と推計されている。300ドル(約3万3000円)程度との説もあり、いずれにせよ世界最貧国クラスであることは間違いない。

 シンガポールは飢えとは無縁だ。このことは大きい。シンガポール国民が、リー政権を圧倒的に支持し続けている様子を見て、意地悪な外国人が「政府批判を禁じられている、かわいそうな人たち」と上から目線で言うのは筋違いだ。人は何よりもまず、食べるに困らず、安全に暮らせることを望む。言論や表現の自由は重要だが、国民全員が安心して食べていかれることより優先するものではないとシンガポーリアンは言う。

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