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密告社会・中国の“ご都合プライバシー” 不倫告発した警官の末路が語るもの (1/3ページ)

 中国浙江省で40代の男性警察官が上司の勤務時間中の不倫現場を盗撮し、監督機関に通報したところ、「プライバシーの侵害」を理由に拘束される事件があり、中国社会で議論を呼んでいる。習近平指導部が進める「反腐敗」「反スパイ」キャンペーンで密告が奨励され、言論統制も強まるなど“監視社会”化が進む中で、公権力者や国民の「プライバシー」はどこまで守られるのかが焦点だ。

 ■GPSで執念の追跡

 上海に拠点を置くネットメディア「澎湃新聞」が暴露した事件の概要はこうだ。

 浙江省台州市黄岩区の公安(警察)分局に勤務する男性警察官は2015年、以前から反りの合わなかった男性上司の副局長が不倫しているとの情報を得た。その後インターネットでGPS追跡装置を購入し、16年5月のある晩、上司の自宅をこっそり訪れ、自家用車2台のバンパー下部に装置を取り付けた。

 その後1年余りにわたり、この警察官はスマホのアプリを使って上司の車の行動を追跡した。執念の“捜査”の結果、上司が台州市内の集合住宅の地下駐車場で頻繁に女性と密会していることを突き止める。警察官は駐車場に隠しカメラを設置し、3カ月以上にわたって密会を撮影。このうち3回は勤務時間中だったといい、17年6月末に区の党規律検査委員会に匿名で“調査資料”を送った。

 ■告発は「正義の行動」?

 ところが事態は、この警察官が予想しなかった方向へと進んでいく。上司は告発の直後、車に取り付けられた追跡装置を発見し、派出所に通報。思い当たる節があったためか、自ら女性との「不適切な関係」を認めた。党の規律委員会は、規律違反による具体的な「好ましくない影響」は出ていないとして上司への処分は行わず、別部署に異動させるにとどめた。

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