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【高橋洋一 日本の解き方】米中貿易戦争とトランプ戦略 ミクロではむちゃくちゃだが…積極財政背景に影響は限定的 (1/2ページ)

 米トランプ政権が2000億ドル(約22兆円)の中国製品に対する追加関税を通告するなど、中国との貿易戦争が懸念されている。トランプ大統領は世界貿易機関(WTO)批判も強めているが、貿易に対するスタンスはこのまま変わらないのだろうか。

 経済学者の観点からみれば、トランプ大統領のやっていることはちょっとあり得ないものだ。ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授は、「トランプ大統領が貿易戦争に向かって行進する中、私は市場の慢心に驚いている」「トランプ氏が行くところまで行って、世界経済を壊すのかは分からない。しかし、相当な可能性があるのは確かだ。50%? 30%?」とツイートしている。

 筆者は厳密には経済学者ではないが、自由貿易に関してほとんどの経済学者は200年近くも意見が一致していることをよく知っている。

 自由貿易は当事者全てを「WIN-WIN」の関係にできるので、政治家の役割は自由貿易の果実をどのように配分するかであり、自由貿易を否定するような行動はしてはいけないというものだ。

 ところが、トランプ大統領は、従来の政治家像を一新して、国家間のディール(交渉)に関税の引き上げを政治利用している。政治交渉ではあるが、実際にやる覚悟がないと交渉にならないので、経済学者は実際に関税引き上げが行われることを危惧している。そのときは米国にとどまらず、相手国も当然関税引き上げを行う。