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【ぴいぷる】カリスマ編集者の幻冬舎・見城徹社長 著書『読書という荒野』大ヒット 「僕と安倍首相の共通点は…」 (2/2ページ)

 その石原氏が、昨春は苦境にあった。

 都知事時代の「築地市場移転」の英断に、あらぬ嫌疑をかけられ、現知事とメディアから不当にたたかれていた。病身の石原氏が開いた記者会見の後の、見城さんの言葉が忘れられない。

 「石原さんは何も悪くないんだよな。なのに、どうしてこうなるんだ。腹が立って、今晩寝られないよ!」

 10日後、私は見城さんから呼び出された。

 「この状況は絶対おかしいと思うんだ。僕にできることは本を出すことだから、今の都政がいかにおかしいか、このままでは日本が大変なことになると、全国の人に知らせる本を出す。それをキミに書いてほしいんだ。グウの音も出ないやつを!」

 この3カ月後に出たのが、拙著『「小池劇場」が日本を滅ぼす』である。

 「有本、キミには悪いけど、この本が売れるかどうかと関係なく、僕は全紙に大きな広告を打つよ」

 全国紙に出た広告は、私の本より何倍も強烈な義憤ほとばしる、見城さんの檄文(げきぶん)だった。

 裏から人を操る「黒幕」、あるいは「フィクサー」という存在から実は最も遠いのが、見城徹という人だ。

 世の流れを読もうとか、流れを仕掛けようとは微塵も考えていない。今流れているその中、激流の中へでもザブザブ入っていき、自分のできることをしてしまう。繊細で心配性、義理堅く、信じられないほど面倒見がいいのに、「イザ」となると、不屈の闘志で現実に立ち向かう。

 見城さんと私の共通の知人、安倍晋三首相についても聞いてみた。

 「安倍さんという人が好きなんだ。右とか左とか、政局とかどうでもいいの。あんなに私心が無くて、戦う覚悟のある人はいないからね。僕との共通点? 信義に厚い(笑)。それで時々失敗する(笑)。安倍さんも、僕も、現実の踏み絵を踏み抜いて、実践の荒野を行くしかないですね」

 すぐれた認識者となって、初めて実践者となり得る。その認識のための読書だと見城さんは言う。見城さんの行く荒野を見たい。そう強く誘惑する一冊である。(ペン・有本香 カメラ・斎藤良雄)

 ■見城徹(けんじょう・とおる) 幻冬舎社長。1950年12月29日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)生まれ。67歳。清水南高校、慶應義塾大学卒業後、廣済堂出版に入社。初めて自身で企画した『公文式算数の秘密』がベストセラーに。75年、角川書店に入社。数々のヒット作品を生み出す。95年に退社し、幻冬舎を設立。24年間で、23冊ものミリオンセラーを世に送り出した。自身の著書に『編集者という病』(集英社文庫)、『異端者の快楽』(太田出版)、『たった一人の熱狂』(幻冬舎文庫)など。

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