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文在寅大統領が韓国建国を1919年に変更する理由 (2/2ページ)

 韓国の解放後政局は結局、中国帰りの金九が亡くなり米国帰りの李承晩が初代大統領に就任。北ではソ連が連れてきた金日成が権力を握ったように、南で米国の覚えめでたかった李承晩が政権の座についた。李承晩も当初は「上海臨時政府」の要人だったが、後に上海を離れて渡米し別の道を歩んだ。

 「上海臨時政府」は1919年、日本支配への抵抗として起きた大規模な独立運動(3・1運動)をきっかけに生まれたのだが、この1919年から来年は100周年になる。

 そこで文在寅政権は来年、「3・1運動」および「上海臨時政府」の100周年記念事業を大々的に計画している。すでに韓国(大韓民国)の建国は1919年の「上海臨時政府」に始まるとするキャンペーンを展開し、マスコミでも「3・1特集」が始まっている。これまで建国は1948年の李承晩政権からとなっていたのを、否定しようというのだ。韓国では政権が変われば歴史も変わる!

 「上海臨時政府」の実態は、派閥争いの連続で「政府」の体をなしていなかったため、対外的にはほとんど評価されていない。日中戦争末期に中国・国民党の支援は受けていたが連合国は亡命政権として認めず、金九の帰国も「臨時政府代表」ではなく個人としての帰国を余儀なくされた。

 一方、北朝鮮は1948年9月9日の「朝鮮民主主義人民共和国」スタートが建国記念日になっている。今年はその70周年で金正恩は大々的なイベントを予定している。文在寅はそれに招かれたがっているようだが、自らの「韓国1919年建国」説を金正恩にどう評価させるのか。

 この説だと金九らとは別に満州の中国共産党の下で抗日運動をしていた祖父・金日成も、大韓民国国民ということになる。北との歴史認識問題はどうなる?

 ●文/黒田勝弘

 【著者PROFILE】1941年生まれ。京都大学卒業。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長を経て産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『決定版どうしても“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『隣国への足跡』(KADOKAWA)など多数。

 ※SAPIO2018年7・8月号

NEWSポストセブン

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