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【高橋洋一 日本の解き方】出ては消えるアベノミクス批判 「GDP改竄説」はデマの一種 改訂基準は過去の値にも適用 (1/2ページ)

 ネットメディアで「アベノミクスに重大な疑惑」といった記事がある。「マネタリーベース(中央銀行が供給するお金)が増えてもマネーストック(金融部門から経済全体に供給される通貨)はほとんど増えていない」「実質賃金は下がっていて生活は苦しくなっている」「アベノミクスがもたらしたのは、円安による為替差益と株価の上昇だけ」「GDP(国内総生産)はかさ上げされている」といったものだが、こうした説に妥当性はあるのか。

 約5年半前のアベノミクス開始当初にもこうした言説は多かったが、その後の実績でほとんど消えていった。特に、エコノミストらプロの世界では既に勝負がついているので、今やこうした話はまず出てこない。あるとすると、安倍晋三首相批判のためにする政治的な言説であることが多い。

 こうした批判では、雇用という国民生活で最も重要なことが語られない。失業率や有効求人倍率が記録的な良好水準であることの理由の分析を間違え、「実質賃金が上がっていない」という。

 金融緩和すると、まず就業者数が増え人手不足になる。その過程で物価はやや上がるが、名目賃金の上昇は追いつけない。それまで失業者であった人が就業者になる場合、名目賃金は比較的安い。こうしたことから実質賃金は上がらず逆に下がるという現象がみられる。これは効果のラグ(時間のずれ)であり、そのうちに名目賃金が物価上昇を追い抜いて上がり出す。

 「マネーストックが増えない」というのはそもそも批判にならない。筆者は当初から、マネーストックは金融機関からの貸し出しなので、当分増えないと断定していた。

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