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【ぴいぷる】絶滅回避へ奮闘中! ウナギ研究の第一人者・塚本勝巳教授 「食文化が消えれば研究の意義も半減」 (2/3ページ)

 卵の大きさは直径1・6ミリでまさに「滄海(そうかい)の一粟(いちぞく)」。1991年、博士らは、まず10ミリ前後の小型レプトセファルスを約1000匹採取した。頭の耳石などの解析から産卵場は北緯15度、東経141度あたりのフィリピン海にあると推定。2009年初夏、世界で初めてウナギの卵の採取に成功し、産卵地点を特定。卵もこれまで5回、計600個を採取している。

 「詳しく調べると、このときの産卵場所は塩分フロント(塩分濃度の濃淡の境=潮目)と西マリアナ海嶺南端部の海底山脈との交点でした。採集した卵の発育段階と水温の解析から、多くが新月3日前の真夜中に産卵されたことが分かりました」

 次なるチャレンジは「産卵シーンを見ることと、その動画撮影」と目を輝かせる。

 「ウナギの雌と雄が、あの広くて深い海でどう出合うのか、その地点の目印や特徴は何か。最近は産卵場の海山域の内部潮汐(ちょうせき=表層付近の海水の上下運動)にも注目しています。親ウナギたちは内部潮汐エネルギーの高い地点を何らかの方法で感知し、そこに集まってくるのではないか、と。内部潮汐のシミュレーションと、すでに検証済みの塩分フロント仮説を組み合わせれば、産卵が起こるだろう地点の絞り込みが進むと考えています」

 近年注目の「環境DNA解析」も導入。海や川の水を採取、生物のDNAの断片を増幅・分析し生息種や量を把握する新手法だ。

 「昨年、海洋研究開発機構の研究船『よこすか』と潜水艇『しんかい6500』を使った(マリアナ諸島西方海域)調査では、ニホンウナギの産卵イベントと思われる大きな環境DNAのシグナルを、産卵ピークの新月3日前に検出。しかもそこは内部潮汐の高エネルギーパッチ(地点)のど真ん中でした」

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