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オウム死刑囚 執行された7人と残った6人の「線引き」根拠

 共犯関係にある死刑囚の刑の執行は、同じ日に行なわれる--そうした慣例も、13人にのぼるオウム事件の死刑囚たちには当てはまらなかった。7月6日、オウム真理教の教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚ら7人が刑に処された。

 13人を「分割」した政府の意図について、元刑務官で作家の坂本敏夫氏が解説する。

 「全員同日に執行しなかったのは、残忍な極刑を大量に執行している、という国際社会からの批判を和らげるのが狙いでしょう。麻原以外の教団幹部12人を半分に分けることで、1回あたりの人数を減らし、『2桁』に見えにくいように工夫したと考えるのが自然です」

 残されたのは坂本堤弁護士一家殺害事件の実行役である宮前(旧姓・岡崎)一明死刑囚や、地下鉄サリン事件の散布役だった小池(旧姓・林)泰男死刑囚ら6人だ。

 「死刑囚たちが暮らす拘置所は、情報をシャットアウトされているわけではありません。新聞やラジオ、家族の面会を通して、残された死刑囚たちは麻原を含む6人への執行の事実を知ることになります」(司法記者)

 上川陽子法務大臣は、死刑囚たちの“線引き”の基準について「個々の執行の判断に関わる事項なので差し控える」としたが、運命はどこで分かれたのか。『恩赦と死刑囚』の著書があるノンフィクション作家の斎藤充功氏が推測する。

 「先に執行されたのは国家を模して教団内に置かれた『省庁』で大臣などの高い地位を与えられていた、麻原元死刑囚の最側近たちと言えます。事件の報道を通じて世間での知名度も高い。昨年2月に起きた北朝鮮の金正男暗殺で、アメリカの毒物学者が中川智正元死刑囚にアドバイスを求めたことが大きく報じられて名前がフィーチャーされましたが、その中川元死刑囚も先に執行されました。国民の処罰感情を意識した線引きだったことがうかがえます」

 死刑執行は報道管制や警備体制なども含め、3年ほど前から綿密なシミュレーションがなされてきたという。13人の13階段は、その上に敷かれていた。

 ※週刊ポスト2018年8月3日号

NEWSポストセブン

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