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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】西日本豪雨が引き起こした水蒸気爆発 すさまじい威力…御嶽山噴火と同じ (2/2ページ)

 液体の水は1グラムで1立方センチの体積を占めるが、これが100度になると気体になって約1700立方センチメートルの体積にも膨張する。もっと高温の物があると4000立方センチメートル以上と、さらに体積が増える。数千倍の体積になるのだ。

 このため、工場など閉じた空間では大変な圧力になって、まわりにあるものを吹き飛ばしてしまう。

 アルミの融点は660度ほどだ。火山ではもっと高く、マグマの温度は1000度を超える。この高温のため、膨張した水蒸気が噴石や溶岩を吹き飛ばしてしまう。

 戦後最大で60人以上の犠牲者を生んだ2014年の御嶽山噴火も水蒸気爆発だった。

 火山の水蒸気爆発は、マグマの中の水蒸気やマグマの近くにある地下水が熱せられたことによって圧力が上がり、地表にあった昔の火山灰や噴石などを吹き飛ばして噴火する。御嶽山で被害を生んだのは昔の火山灰などだったのだ。

 ちょうど130年前には御嶽山よりはるかに大きな水蒸気爆発が起きた。1888年7月15日の福島・会津磐梯山の噴火だ。

 このときは、火山の内部で水蒸気爆発が起きた。このため大規模な山体崩壊を引き起こして山頂も崩壊した。いま、空から見ると磐梯山の山頂から北側には息をのむような巨大な山体崩壊の跡が広がっている。噴火後は低くなって標高1816メートルになった。

 磐梯山の噴火はわずか1日で終息した。しかし被害は甚大だった。この山体崩壊で約500人もの死者を出した。また、川がせき止められ、桧原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼など、大小さまざまな湖沼が作られた。

 水蒸気爆発は、とても怖いものなのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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