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【富坂聰 真・人民日報】米中貿易摩擦、ほんの小手試し? “本丸”は最先端技術をめぐる攻防か (2/2ページ)

 一方の中国は、次の時代において更なる経済大国として地位を高めようと、最先端技術の育成に猛進している。

 それゆえに日本がついてゆけないほどのネット依存社会をつくりあげ、最先端技術による産業再生に向けて全体重を傾けてしまったのだ。

 いうまでもないことだが、インターネットから派生する世界は、米国が作り上げた技術で、いまだ技術の上流に君臨しているのが実態だ。

 つまり、やろうと思えば多少強引であっても静かに中国の産業に大きなダメージを与えることができるのである。

 そして、それを実践で知らしめたのが中興通訊(ZTE)の経営危機騒動なのである。

 自らの未来を高付加価値の高い技術の産業に依存する体質を作り上げたことは中国の追い風であったが、それが強いがゆえに的確に薬も効いてしまうのだ。

 ZTEの問題で中国の弱点を握った米国。ただ、これをもってかつてソ連を崩壊に導いたシナリオを引く声も聞こえ始めているが、それは気が早すぎるといわざるをえない。

 そもそも中国という発展エンジンは米国の経済発展のためにも不可欠な存在だからだ。

 中国の現在の世界経済成長への寄与は約30%だ。

 貿易関係のなかったソ連とは比較にならない。

 要するに米中経済戦争の行方は、米国がどう中国から利益を貢がせる構造を作り上げるかにこれから焦点が移動するはずだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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