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【勝負師たちの系譜】36歳、A級のまま夭逝した山田道美九段  (1/2ページ)

★順位戦(2)

 順位戦は昇級者や名人戦の挑戦者を決めるだけでなく、降級者を決めるリーグでもある。特にA級順位戦は、誰が降級するかが大いに注目される。

 A級に上がって以来、1度も落ちなかった棋士として、升田幸三実力制第4代名人と、大山康晴15世名人がいるのはよく知られている。また復帰したA級のまま引退した高島一岐代九段、亡くなった村山聖九段もいる。

 升田は30歳でA級昇級以後、最後の順位戦を指した58歳で初めて負け越したというほど、順位戦の成績は抜群だった。

 しかしもう1人、A級のまま亡くなった棋士がいる。本欄でも何回か紹介した、山田道美九段である。

 山田は棋士になったのは18歳と早かったが、A級に昇るまで12期を費やした。18歳での奨励会入会にも関わらず、四段からわずか5期でA級に到達した同年代の二上達也九段とは対照的だ。

 ちなみにA級までの最短記録は、加藤一二三九段と中原誠16世名人の4期(ノンストップ)。5期に谷川浩司九段、南芳一九段がいるが、後の棋士は羽生善治竜王を含め、すべて7期以上かかっている。

 特にほとんどのトップ棋士が、Cクラスを脱出するのに苦労しているところが興味深く、今期、藤井聡太七段がC級をストレートで抜けられるかも注目されよう。

 山田は若い頃、シュバイツァー博士がアフリカで人類を救うために苦労している時に、自分はそこに行かず、将棋を指していて良いのだろうかと悩み、成績は不振、結婚も迷ったという自らの手記がある。

 しかし友人の助言もあって将棋に専念した結果、31歳でA級に昇った1年目に、名人挑戦者となったのである。

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