記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】国の財政を家計に例える財務省 「借り入れは悪」という印象操作、企業活動との比較こそ実態反映 (1/2ページ)

 財務省は広報資料などで国の財政を家計に例えることが多い。「日本の財政を家計に例えると、借金はいくら」という質問をし、「月収30万円の家計でいえば毎月17万円の借金をし、5379万円のローン負債がある」と例えるのが定番だ。

 筆者が大蔵省に入省したとき、財政の状況をマンガで分かりやすく示すという省内プロジェクトがあった。新人だった筆者はそれを興味深く見ていたが、その中に国の財政を家計で例えるというものもあった。

 筆者の素朴な疑問は、政府は企業に例えたほうがいいのではないかというものだった。

 経済学では、経済活動の単位を「家計」「企業」「政府」と分けるが、家計は貯蓄主体、企業は借り入れ主体が基本形で、家計の借り入れは企業ほど多くなく、政府は家計より企業に似ているからだ。もし政府を家計に例えると、借り入れイコール悪という結論に至りやすい。

 筆者は、こんな疑問を上司などにぶつけたが、大蔵省は財政再建が至上命令なのだから、借金が悪でいいのだといわれた。

 筆者は、日本銀行が発表している各部門別のバランスシート(貸借対照表)を当時の大蔵省の各種資料に利用していた。

 2018年3月末でみても、家計部門は資産1829兆円、負債318兆円と資産超過になっている。一方、企業部門(民間非金融法人企業)は資産1178兆円、負債1732兆円と負債超過だ。ちなみに、一般政府部門は、資産574兆円、負債1287兆円とこれも企業部門と同じく負債超過になっている。

関連ニュース