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【知られざる第一次世界大戦の偉業】「地中海の守護神」と呼ばれた日本艦隊 攻撃受けた連合軍船舶から7千人を救助した (2/2ページ)

 こうして日本艦隊は、輸送船など約800隻の連合軍の船舶を護送し、兵員約70万人の輸送を助けた。そして、敵潜水艦の攻撃を受けて海に投げ出された連合国の兵士や看護婦ら約7000人を救助したのである。

 見事な護衛ぶりから、第二特務艦隊はいつしか「地中海の守護神」と呼ばれるようになり、護衛依頼が殺到した。

 17年6月11日、前述した駆逐艦「榊」が魚雷攻撃を受けて大破し、59人の戦死者を出した。この59人と、そのほかの殉職者を合わせた78人の戦没者の遺骨と遺灰は、現在もマルタ共和国の英連邦軍墓地の中にある旧日本海軍戦没者墓地に埋葬されている。

 この埋もれた史実を語り継いでいる、作家のC・W・ニコル氏は、第二特務艦隊の士官として地中海に赴いた片岡覚太郎中尉の著書『日本海軍地中海遠征記』(河出書房)の解説で、以下のように述べている。

 《地中海をはじめとした地域での日本帝国海軍の尽力は、むろん数字の上では、イギリス、フランス、イタリア、アメリカ軍その他に比べると小さいとはいえ、戦争の流れを一変させたといえるのではないかと。彼らのおかげで形勢が変わったのだ。だから彼らの物語は、日本人だれもが誇らしく思っていい物語なのだ》

 日本海軍が、連合国勝利に大きく貢献したという輝かしい史実を、果たして、どれほどの日本人が知っているだろうか。

 ■井上和彦(いのうえ・かずひこ) ジャーナリスト。1963年、滋賀県生まれ。法政大学卒業。専門は、軍事安全保障・外交問題・近現代史。「軍事漫談家」の異名も持つ。産経新聞「正論」欄執筆メンバー、国家基本問題研究所企画委員などを務める。第17回「正論新風賞」受賞。主な著書・共著に『東日本大震災 自衛隊かく闘えり』(双葉社)、『東京裁判をゼロからやり直す』(小学館新書)、『本当は戦争で感謝された日本』(PHP文庫)など多数。

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