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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】地震発生の「時刻」が引き起こす悲劇… 季節や時間で異なる被害の大きさ (2/2ページ)

 地震が起きた時刻ゆえの悲劇は近年にも起きている。M7・3の阪神淡路大震災(1995年)が起きたのは午前5時46分。6400人以上が犠牲になった。

 神戸大学の学生の死者は39人、うち37人は下宿生だった。

 神戸大学が特別に下宿生の割合が高かったわけではない。下宿生は古い木造家屋に住んでいることが多く、それゆえ午前6時前の大地震で、学生は下宿で寝ていて、多くが犠牲になってしまったのである。

 ちなみに、地盤がいい高台にあり、建物も強い神戸大学では建物はひとつも倒壊しなかったから、もしこの地震が昼間だったら、これらの学生は命を落とさずにすんだだろう。

 他方、この地震が起きた時刻は新幹線が走り出す十数分前だった。地震では落ちないと言われていた新幹線の鉄道橋がいくつか落ちた。もし新幹線が走っていたら大事故はまぬがれなかっただろう。

 地震が起きた時刻は被害の様子に大いに影響する。首都圏でいずれは起きる大地震や、恐れられている南海トラフ地震の被害想定も、季節と時間で大いに違う。いちばん被害が多いのは冬の夕方だし、一番被害が少ないのは夏の昼間だ。

 同じ大きさの地震が起きても、被害は10倍以上も違うのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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