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【高橋洋一 日本の解き方】不合理な緊縮財政は人を殺す インフラ整備阻む「EU規律」、日本も金科玉条扱いは不要 (1/2ページ)

 イタリアのジェノバで発生した高架橋崩落事故をきっかけに、「反緊縮財政」の可能性が浮上していると報じられた。日本の報道では「バラマキ」と批判的なトーンが多いが、緊縮財政がもたらす悲劇と比べてどちらが問題なのだろうか。

 イタリアのコンテ首相は既に2019年予算案の枠組みを固めているが、連立政権を構成する右派政党「同盟」を率いるサルビーニ副首相は、ジェノバの事故を受けて、安全対策への支出を妨げる欧州連合(EU)の財政規律に「従うことが理にかなうのか疑問が生じる」と不満を示したという。

 EUの財政規律とは、1993年11月発効のマーストリヒト条約(現リスボン条約)に定められた財政赤字の2つの基準である。具体的には(1)単年度の財政赤字が国内総生産(GDP)比3%以下(2)公的債務が同60%以下というものだ。基準の順守を加盟国に義務付けるとともに、加盟国の財政を監視することが取り決められた。

 この公的債務残高をGDP比60%以下とするのは、理論的にもおかしな話だ。まず、これでは赤字国債も建設国債も同じ扱いになってしまう。資産が残る建設国債は投資のための手段であり、経済成長には欠かせないものだ。この点を考慮すると、公的債務残高の基準を作るなら、建設国債を除いて考えるべきだろう。

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