記事詳細

潜水艦乗組員に女性起用へ 国の“舵取り”期待と覚悟 ストレス耐性、出産・育児にはバランス考慮を

★軍事ジャーナリスト・潮匡人氏が分析 

 防衛省が、男性自衛官に限っていた海上自衛隊の潜水艦の乗組員に、女性自衛官を起用する方向で検討を始めたと、共同通信が同省関係者への取材結果として8月31日、報じた。必要な訓練を経て、数年後の配置を目指すという。この件について、評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏が語った。

 潜水艦は区画が限られ、狭く、女性専用のスペースを確保するのが難しいため、これまで男性自衛官限定だった。先日、国内初となる女性の戦闘機(F15)パイロットが誕生したが、潜水艦に女性自衛官が配置されれば「最後のとりで」がなくなることになる。

 主要先進国の軍隊では、男女の隔てなく登用されている。米軍や英軍でも数年前から、潜水艦への女性乗組員が起用され始めたはずだ。「男だけの世界」と言っていられない時代になった。

 背景には、男女共同参画社会というだけでなく、海上自衛隊への希望者が少ない現実もある。陸上・航空自衛隊に比べて、海上自衛隊は陸で生活する時間が限られている。一度航海に出ると、長期間自宅に帰れず、「彼女にメールもできない」という理由で退官した者もいる。

 ただ、他の職業もそうだが、女性の方が優秀な場合もあり、ストレスへの耐性も強い面もある。これらは、陸上・航空自衛隊でも経験済みだ。女性自衛官には大いに期待したい。

 一方で、自衛隊の任務は特殊であり、一人前になるには長い教育・訓練が必要となる。女性特有の問題(出産や育児など)とのバランスを考え、現場の混乱を最小限に抑える必要がある。

 ともかく、「潜水艦への女性自衛官起用」という方向に舵を切る以上、国も自衛隊も相当の覚悟と努力が求められる。(談)