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【高橋洋一 日本の解き方】石破氏は歴史に学んだのか 金解禁断行でデフレ招いた財政・金融の「緊縮遺伝子」 (1/2ページ)

 7日告示された自民党総裁選で、石破茂元幹事長が、昭和初期に首相を務めた浜口雄幸の記念館に足を運んだことが話題になった。浜口を描いた小説『男子の本懐』を繰り返し読み、「正義感に共感した」とも報じられた。

 浜口の行った「金解禁」などの政策は、今ではデフレの原因であり、失敗だったことがわかっている。その意味で、経済政策論としては『男子の本懐』はミスリーディングな面がある。歴史の教訓に学べば、高橋是清の政策(リフレ政策)が正しい。

 この話で思い出すのは、40年近く前、筆者が当時の大蔵省に入省後の研修で『男子の本懐』を読み感想文を書いたことだ。同期の大半は「命がけで仕事をするのは素晴らしい」という内容だったが、筆者1人が「わけのわからない政策に命をかけるのはおかしい」と書き、ひんしゅくをかったのだ。

 それから20年後、米プリンストン大に留学して、のちに連邦準備制度理事会(FRB)議長となるバーナンキ教授から大恐慌について学んだことで、入省後の筆者の疑問は正しかったことがわかった。

 バーナンキ教授は、「金本位制に固執した国では十分な金融緩和策が行えず、デフレが深刻化した」と言った。金本位制を放棄した国では思い切った金融緩和が可能となり、恐慌から早く逃れることができた。金本位制から早く離脱した国ほど、世界大恐慌から早く抜け出していることも分かった。

 昭和の初め、浜口内閣は世界恐慌のただなかで日本経済のかじ取りを託されたが、浜口首相と井上準之助蔵相の悲願は「金本位制への復帰」であり、強い反対を押し切って「金解禁」を断行した。

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