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【日本の選択】「安倍一強で多様性がない」派閥時代を懐かしむ時代錯誤 日本政治を変革した「小選挙区制度」を熟知していたのは… (1/2ページ)

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 「こんな自民党ではなかったはずだ」

 自民党総裁選で、石破茂元幹事長が連呼したセリフだ。これに呼応するかのように、ベテランのジャーナリストは説く。

 「かつての自民党では派閥同士で激しい争いがあり、疑似政権交代が繰り返された。今は『安倍一強』で多様性がない」。さらには、「安倍晋三首相に、ものをいえない自民党になってしまった」「政治家が小粒化してしまい情けない」といった批判まで続く。

 だが、安倍首相個人が自民党を変質させてしまったという議論は、暴論といわざるを得ない。

 政治を分析する際、ジャーナリストは政治家個人の力量、魅力に重点を置くことが多い。これに対し、政治学者は政治制度を重視しながら政治を分析する。実際には、どちらに偏っても政治の真実は見えてこない。

 個々の政治家の魅力、力量を無視した政治分析は、人間らしい、泥臭い政治の現実を見失いがちである。ジャーナリストの政治論に意味がある所以(ゆえん)である。

 しかし、政治制度の視点からの分析も重要だ。政治制度とは、政治家(プレーヤー)をしばるルールだといってよい。当然、ルールが変更されれば、プレーヤーの戦略も変化するし、場合によっては活躍できるプレーヤー自身が変わってくる。

 日本政治に劇的な地殻変動をもたらした政治制度の変革とは、小選挙区制度の導入(=1994年3月、改正政治改革関連法成立)である。小選挙区制度が導入されたことにより、「派閥」の力は弱体化した。

 党の執行部が公認権を持っている以上、個々の政治家は派閥の領袖以上に気を使うべき対象が生まれたからだ。こうした小選挙区制度の弊害について語っていたのが、若き日の小泉純一郎元首相であった。

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