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【国防最前線】九州北部豪雨、福岡県東峰村と自衛隊(上) 道なき道を自力で進んだ施設部隊 (1/2ページ)

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 秋空の下、九州のある陸上自衛隊部隊の記念行事に、福岡県東峰村の渋谷博昭村長の姿があった。施設部隊の行事ということで、観閲行進では重機などの見慣れない車両が観閲台の前を通過していく。そんななか、渋谷村長は土砂を掻き起こすバケットローダー(=重機の1つ)に、誰よりも熱心に拍手を送っているように見えた。

 1年前の夏、これらの車両に、そして目の前の隊員たちの活躍にどんなに救われたか、渋谷村長はその時のことを決して忘れることはない。

 東峰村は、県中央部の東端に位置し、大分県日田市と隣接する。村の総面積の約86%を山林原野が占める中山間地域だ。

 2017年7月5日、その日は久しぶりに朝からポツポツと雨が降っていた。それが午後に急激に激しさを増し、猛烈な勢いに変わる。そして、瞬く間に集落を飲み込んでしまったのだ。

 気象に知見があった渋谷村長は雨雲の動きを確認していたが、通常3時間もすれば通り過ぎるのが常だった。だが、この九州北部豪雨では雨雲が9時間も居座り、平年の2カ月分の雨が降る異常事態となったのだ。

 「災害派遣を要請する!」

 救助を求めて同日午後4時に福岡県に連絡したが、即応とはいかなかった。福岡の中心部では雨が降っていなかったことも影響したのかもしれない。いずれにせよ、じりじりと待つ間にも雨は激しくなるばかりだった。

 そのころ、自衛隊は県の要請を待ち、災害派遣の準備を進めていた。だが、通信が途絶えて被災地と連絡がとれない。

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