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【国防最前線】迷彩服と自衛隊車両を見ると安心する被災者 九州北部豪雨、福岡県東峰村と自衛隊(下) (1/2ページ)

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 昨年7月の九州北部豪雨。夜を徹して福岡県中央部の東端に位置する東峰村にたどり着いた陸上自衛隊第5施設団の隊員たちは、住民を救助するため、さらに歩いて被害の激しい現場に向かった。駐屯地を出発してから、すでに12時間がたった7月6日午前10時ごろ、状況が一変する。

 「人の声がする!」

 倒壊家屋の下敷きになったとみられる住民だった。隊員たちの疲労が一瞬で吹き飛んだ。50人ほどの隊員の総力での救助活動が始まった。

 「頑張って!」

 中隊長が声掛けをするなか、下敷きになった親子の姿が確認された。倒壊から18時間ほどが経過していたとみられ、大けがをしていたが一命を取りとめた。東峰村の渋谷博昭村長は語る。

 「自衛隊がいなかったら、16歳の少年の将来はなかったんです」

 辛いことも起きた。近所の人が避難を呼びかけたが、病身であったため「みんなの迷惑になる」と躊躇(ちゅうちょ)し、高齢者2人が逃げ遅れて亡くなったのだ。

 東峰村の住民の約4割は高齢者である。こうした避難に困難を伴う人々を助けるために、渋谷村長は日ごろから知恵を絞っていた。実は、九州北部豪雨発生の10日前にも住民の避難訓練を実施し、体の不自由なお年寄りを誰が避難させるか決めたばかりだったのだ。

 しかし、実際の災害時には「まだ大丈夫、そんなにひどくはならないだろう」という思いが支配的になることが、訓練との決定的な違いなのだ。そして、高齢化の進む地域では被災後の精神的なショックもまた大きい。

 「村のおばあちゃんが、迷彩服と自衛隊車両を見ると安心すると言っていました」

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