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【高橋洋一 日本の解き方】ノーベル賞受賞・本庶教授「ばらまき」発言のウラ 官僚が研究資金の「選択と集中」できるなんてウソ (1/2ページ)

 ノーベル医学・生物学賞の受賞が決まった本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大学特別教授が、研究資金について「もうちょっとばらまくべきだと思う」と発言したことが話題になっている。研究資金はなぜ増えていないのか。それは誰のせいか。

 本庶教授といえば、「オプジーボ」というがんの薬の開発につながった研究で有名だ。人の体が本来持っている免疫でがん細胞を攻撃させる治療薬で、そのおかげでがんになっても長く生きる人が増えている。

 自然科学の基礎研究への財政資金や人材の投入に関しては、現状では本庶教授が主張する「ばらまき」ではなく、「選択と集中」が実施されている。だが、そもそも官僚が研究資金の「選択と集中」をできるというのはハッキリ言えばウソである。官僚に限らず、誰もそんなことはできない。

 本庶教授も記者会見の中で、「何が正しいのか。何が重要なのかわからないところで、『この山に向かってみんなで攻めよう』ということはナンセンスで、多くの人にできるだけ、たくさんの山を踏破して、そこに何があるかをまず理解したうえで、どの山が本当に重要な山か、ということを調べる」と述べている。

 つまり、どのような方向で研究したらいいかもわからないのが実情なのだ。このため、基礎研究では、官僚の嫌う「無駄」が多い。というか、いわば「千に三つ」しか当たらないので、極端な言い方だが、ほとんどは「無駄」な研究ばかりなのだ。しかし、一定の「無駄」がないと、卓越した研究も出てこないのも事実だ。

 この感覚は、自然科学を勉強したり、研究したりした人なら共感できるだろう。しかし、多くの文系官僚には理解できない。基礎研究の「選択と集中」が言われるのは、研究資金が足りないからで、本コラムに書いてきたように、基礎研究の財源として、国債発行を考えるべきなのだ。

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