記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】「ノーベル経済学賞」受賞者の功績 「温暖化」「アイデア」の知見を実際の政策として社会に生かす (2/2ページ)

 実際にそれを実行するにあたり、ノードハウス氏の研究である環境会計はとても役立っている。兄であるボブ・ノードハウス氏は、環境弁護士であり、兄弟で環境問題で活躍している。

 一方、ローマー氏は、同姓の経済学者がいるのでややこしい。デヴィット・ローマー氏とその妻であるクリスティーナ・ローマー氏はそれぞれマクロ経済、大恐慌の研究家として有名であるが、今回ノーベル賞を受賞したポール・ローマー氏は新しい内生的成長モデルで顕著な貢献をした。

 ローマー氏は、技術革新の中でも「アイデア」が最終財の生産性を向上させることを明らかにした。このモデルの重要なポイントは、「アイデア」が独占的企業によって生み出される非競合財であり、規模に対して収穫逓増となることだ。「アイデア」は容易にパクられるために、普通は供給されにくいが、独占企業なら「アイデア」による利潤を受けられるので供給され、それが経済成長をもたらすのだ。

 さらにローマー氏には、一定の開発規制を事前に政府に与えて、一から新しい都市をつくる「チャーターシティ」構想もある。しかし、実際にホンジュラスで行おうとしたが実現しなかった。

 それぞれ、経済学上の知見を生み出すだけではなく、実際に政策として社会に生かそうというスタンスが素晴らしい。どこかの国の経済学者のように、財務省の言いなりで、走狗となって財政再建しか主張しないのとは大違いだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

関連ニュース