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【富坂聰 真・人民日報】口実に過ぎない“周永康派”批判 ICPO総裁取り調べのウラ事情 (2/2ページ)

 それ以前に共産党幹部が正式に党内に派閥が存在することを認めたと解釈するならば、それだけで大事件だ。

 こうした疑問を前提に考えれば、“康派”というのはあくまで口実として使われた言葉だと考えるのが自然だ。つまり孟宏偉の「悪さ」を象徴するためのレッテルである。

 よく似たケースは、19大(中国共産党第19期全国代表大会)前に失脚した孫政才(元重慶市共産党委書記)が攻撃されたとき、「薄煕来(元重慶市共産党委書記)の遺毒」と表現されたことだ。孫が薄煕来とは接点のない人材であることは明らかなのにかかわらず、である。

 未来の首相候補とまで噂された孫が失脚に際して「薄煕来の遺毒」との表現を当てられたのは、「失脚して当然の人物」だと周知徹底させる目的のためだ。

 趙克志の発言を載せた公安部サイトの記事の見出しは、〈孟宏偉の違法行為に対して進められる監察調査を断固支持する〉である。

 この表現は党中央がターゲットにした組織が、組織として反抗の意思がないことを示すものだ。軍事改革に際して各地の司令官が一斉に習近平への忠誠を表明したのと同じである。

 目的は、党中央からのさらなる攻撃を避けることだ。つまり、その懸念がこの問題の裏には隠れているとみることもできるのだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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