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【富坂聰 真・人民日報】単純ではない「米中対立」 米内政の変化で複雑化 (2/2ページ)

 対中国でみれば、経済戦争を仕掛けるアメリカにとって大きな追い風となっているZTE(中興通訊)への制裁は、そもそも商務省主導であり、そのルーツはオバマ政権時にさかのぼる。

 アメリカの対中交渉窓口も代わった。

 中国は現在、この問題の解決に、自らの持てる外交力の多くを傾けている。

 さて、こんな状況下で中国は9月に2つの大きな外交日程をこなしてきた。

 一つは中国・アフリカ協力フォーラムであり、もう一つがウラジオストクで開催された東方経済フォーラムへの習近平国家主席の出席である。

 いずれも日本のメディアで紹介される際、「アメリカとの経済戦争を戦う中国がアメリカを牽制(けんせい)するため」という説明がつけられたのだが、私はこれに強い違和感を覚えるのだ。

 そもそもアフリカやロシアとの距離が対米外交の何を解決してくれるというのだろうか。

 ロシアとの関係を強化してアメリカが牽制されるのだろうか。

 中学生の友達ごっこのレベルならまだしも、そんな単純なゲームがあろうはずがない。それなのに、まるで数学の公式のように中ロが接近すると、「アメリカを牽制」との解説になる。

 だが、現実にはロシアと接近するよりもアメリカで大声を上げている政治家を懐柔する方がはるかに早道であることを中国は知っている。

 問題は、それが容易ではなくなっているアメリカの内政の変化なのだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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