記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】増税にこだわり「資産売却」を嫌がる財務省 その理由は「天下りができなくなる」から (1/2ページ)

 いまから20年あまり前のことだが、旧大蔵省の官僚だった筆者が政府のバランスシート(貸借対照表)を作ってみると、それほど国の財政状況は悪くないことが分かった。徴税権と日銀保有国債を合算すれば、資産が負債を上回っていることも分かった。

 その財政事情の本質は、現在まで変わっていない。資産といっても、一般の人が想定するような土地や建物などの有形固定資産は全資産の2割にも満たない程度で、大半は売却容易な金融資産である。しかもその金融資産は政府関係機関への出資・貸付金などの資金提供だ。

 筆者は当時の上司に対して、ファイナンス論によれば、政府のバランスシート(つまり日本の財政)はそれほど悪くないことを伝えた。もし借金を返済する必要があるというのであれば、まずは資産を売却すればいいと進言したら、「それでは天下りができなくなってしまう。資産を温存したうえで、増税で借金を返す理論武装をしろ」と言われた。

 財務省が、債務返済のために増税を主張する一方で、資産売却に消極的であるのは、このように天下り先確保の事情があるからだ。

 もちろん表向きの説明は、政府関係機関は政策目的のためにあるので、必要な資金を出しているだけだと理由付けている。

 ただ、出資先には日本政策投資銀行、商工中金など、諸外国では民間会社になっている業種も多く、政策目的とは口実で、天下り確保と思えるものも少なくない。実際、出資先リストをみれば、財務省に限らず各省からの天下り役員が多くいる。

関連ニュース