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【高橋洋一 日本の解き方】何のために金融政策をやるのか理解してない?日銀前総裁・白川氏の致命的な欠陥 こんな人が中央銀行総裁だったとは… (2/2ページ)

 それはリーマン・ショック後の超円高に関する見解にも表れている。当時、各国の中央銀行は失業率の上昇を恐れて大幅な金融緩和を行ったが、日銀はやらなかった。その結果、円が各国通貨に比べて相対的に少なくなり、その相対希少性から猛烈な円高になった。

 この円高で苦しんだ企業は多かったが、白川氏はその無策を反省するでもなく、「実質為替レートでみたら大した円高でないが、それを言うと叩かれるから放置した」という趣旨の記述が著作中にある。名目的な円高は大したことがないのになぜ大騒ぎするのかという告白である。

 これには驚いた。物価変動の影響を考慮した実質だけを見て、デフレで実質所得が高くなるからいいだろうという典型的な「デフレ思考」である。その当時円高に苦しんだ人は、この白川氏の本音を聞いてどう思うだろうか。

 デフレも円高も、円がそれぞれモノや他国の通貨量に対して相対的な過小状況になることから引き起こされる現象である。相対的に過小なので通貨の価値が高くなる。モノの価値が下がってデフレになり、円の価値が高くなって円高というわけだ。それがまずいのは雇用が失われるからだが、金融政策で雇用を確保できるという考えがすっぽり抜けているようで、デフレや円高が悪いものと思っていなかったのだろうか。

 やはりどう考えても、日本経済をおとしめた戦犯と言わざるを得ない。中央銀行総裁は金融政策を雇用政策として理解している人に限るべきだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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