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【高橋洋一 日本の解き方】消えた財務省の「マクロモデル」 消費増税のシミュレーションでは景気が悪化する当然の結果 (2/2ページ)

 筆者が入省した直後、マクロ経済モデルの担当になった。そして、モデルを作成するとともに、各種の政策シミュレーションを行った。

 その当時、消費税をいかに導入するかが大蔵省の大きな課題だった。そこで、消費税を導入したときの日本経済がどうなるかという質問が筆者らに舞い込んできた。そのほかにも、物品税を増税したらどうなるか、酒税の増税ではどのように消費が変化するかなど、数多くの政策シミュレーションを行った。

 消費税については、普通に計算すると過熱した経済環境と減税措置がないと景気が悪くなるとの結果になる。消費税に限らず、マクロ経済モデルでは、財政支出増・減税をすると景気が良くなり、財政支出減・増税をすると景気が悪くなるという当然の数量的な結果が出てくる。

 その当時の大蔵省の幹部は、どうもこうした当然の結果が面白くなかったようだ。その結果を「使えない」といわれ、結局シミュレーションの依頼も少なくなった。筆者以外に、マクロ経済モデルのメンテナンスをできる職員もいなかったので、そのうち使われなくなったというのが事実だ。

 おそらく、消費税はマクロ経済に大した影響がないという成果を求めていたのだろう。今でも財務省が使う「増税を織り込んで行動するから経済への影響はない」という思考は、データでは否定されており、マクロ経済モデルでもそうした結果は出てこない。幹部はこれが気に入らなかったのだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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