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「デフレ脱却まで消費増税は凍結すべきだ」 日銀前副総裁・岩田規久男氏に直撃インタビュー  (2/2ページ)

 岩田氏は「政府の財政政策に口を出すことは避けるべきだったし、日銀総裁が“対応できない”と発言することで、国債価格の下落を止められないという予想が自己実現してしまう」と言うほど深刻な事態だった。

 「『公の場でこの発言を否定すべきだった』と批判も受けた。私自身も迷ったが、執行部が分裂すれば、デフレ脱却を目指す姿勢に疑問を持たれると思い踏みとどまった」と振り返る。

 「この増税がなければ、安定的とはいわないまでも14年には2%を達成していたのではないか」とみる岩田氏だが、14年4月に増税が実施された後、懸念していた通り、景気は腰折れしてしまう。

 同書では、その後、10%への再増税阻止に向けて岩田氏が陰に陽に働きかけた様子も描かれている。官邸とのパイプ役が内閣官房参与を務めたスイス大使の本田悦朗氏だったと明かしている。

 同書中には「的外れな質問を繰り返す議員たち」と題して、国会の参考人審議で岩田氏に質問を繰り返した野党議員を名指しで批判している。

 岩田氏が危惧するのは、19年10月からの10%への増税だ。「20代、30代への所得への悪影響が最も大きい」と指摘し、「増税を実施すれば2%の達成時期はさらに遠のき、改善している雇用も悪化する恐れがある。アベノミクスも完全に終わってしまいかねない」と警鐘を鳴らす。

 リフレ派も多い現日銀執行部に岩田氏は期待を寄せた。

 「壊れてしまったリフレ・レジームを再構築することが必要だ。そのためには、『2%の物価安定が持続的になるまでは消費税率の10%への引き上げは凍結する』という協定を日銀と政府が結ぶことが望ましい」

 そして安倍首相に対しては「『デフレ脱却できなければ消費税は上げない』という初心に立ち返ってほしい」と提言した。(中田達也)

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