記事詳細

【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「晩」》芸術の特別な才能に触れる秋 (1/2ページ)

 秋が深まると子供たちとドングリやきれいな落ち葉を拾うのがここ数年の定番だ。今年は横浜市の雑木林を生かした遊び場「こどもの国」で、9マスに仕切られた“宝箱”を購入してガイドとともに落ち葉の散り敷いた林を巡った。

 マテバシイやスダジイ、コナラ…。ドングリにも色々な種類があるものだ。まるで南国フルーツのような大きなトチノキの実を見つけたときには、親の私のほうが興奮した。赤や黄色の落ち葉も集めて宝箱に詰めながら、葉を折って小さな動物をつくる作家のことを思った。

 熊本県に住む渡邊義紘さん(28)。彼がクヌギの葉でつくるイヌやウサギ、ゾウなど「折り葉の動物たち」は、尻尾や耳をピンと立て生き生きとしている。かさかさした落ち葉と対局にある生命力を感じるのだ。

 渡邊さんにはこの夏、東京で開催された展覧会で出会った。障害のある作家らの多様な作品を楽しむもので、渡邊さんは自閉症の診断を受けていると聞いた。「障害があるからこそ生まれた個性がある」。そう主催者が話す通り、渡邊さんは強烈な個性を放っていた。

 同展の公開制作では、下書きなしでいきなり色画用紙にはさみを入れ、切って折って立体的に殻が重なり合う伊勢エビなどを次々と生み出していた。複雑な形でも一筆書きのように紙はつながったまま。できあがった作品を観客に差し出すと、驚嘆の声が上がった。

 渡邊さんは幼いころから手に持ったものを何かの形にするのが得意だった。お菓子の包み紙が恐竜に、ティッシュは鳥に-。母親の仁子(もとこ)さん(71)は「手遊びの延長で、意識しないでやっていた」と振り返る。

 渡邊さんが中学1年のときに誕生したのが折り葉の動物だ。最初はライオンかネコのようなもので、仁子さんは「おもしろいね。次は干支の動物をつくってみたら」とアドバイスした。