記事詳細

【長谷川幸洋「ニュースの核心」】与党・民進党大敗も… 米中新冷戦が、台湾人の“政治意識”を覚醒させる (2/2ページ)

 こうなると、次期総統選で蔡氏が厳しい立場になったのは間違いない。民進党の「現状維持派」や「台湾独立派」はどう盛り返すのか。逆説的だが、中国が選挙結果に勢いづいて台湾への干渉を強めると、それが起爆剤になる可能性がある。

 14年のひまわり運動は、中国と台湾のサービス貿易協定問題がきっかけだった。金融や医療、運輸、美容など中台が互いに自由化を進めると、政府が企業を後押ししている中国が圧倒的有利になる。やがて、政治的にも中国の影響力が強まる懸念が広がって、学生たちの国会議場占拠につながった。

 中国が今後、経済力や宣伝力にモノを言わせて台湾への浸透を図ると、学生や中小企業者は再び、反中意識を高めるだろう。これが1つ。

 加えて、トランプ政権にとって、台湾は中国との新冷戦を戦ううえで、絶対に落とせない重要拠点だ。台湾が中国の支配下に入ってしまったら、中国はそこから自由に太平洋に漕ぎ出せる。そうなったら、日本やフィリピンも危ない。

 台湾は、自由と民主主義を渇望する中国人にとって「中国の未来を示すひな型」でもある。

 マイク・ペンス米副大統領は10月4日の演説で、南米の3つの国に台湾との断交を迫った中国共産党の行動を「台湾海峡の安定を損なう」と批判した。そのうえで、「米国は『1つの中国』政策を維持する一方、民主主義を守る台湾が、すべての中国人に『より良い道』を示している」とも語った。

 トランプ政権は断固、台湾を守る決意なのだ。台湾内外での米中の激しい駆け引きが、台湾人の政治意識を覚醒させるに違いない。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。 

関連ニュース