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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「聖」》金正恩のソウル訪問はどうなった?

 早いもので2018年も残すところ1カ月を切りましたが、朝鮮半島情勢が(いっとき)動いた…気にさせられた1年でした。

 史上初めて(6月の米朝首脳会談)とか、11年ぶり(4月の南北首脳会談)など派手目のショーが続いたことで、朝鮮半島融和の障害となっている核問題が解決されるのでは…との期待も寄せられましたが、基本的には何も変わらなかった1年でした。

 そういえば、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は年内にもソウルを訪問するのではなかったでしたっけ?

 9月に平壌で行われた今年3度目の南北首脳会談後に出された「9月平壌共同宣言」には、正恩氏が近くソウルを訪問することが明記されました。

 韓国紙、朝鮮日報(日本語電子版)によると、先月あたりにはソウル市庁舎に正恩氏の大きな写真が掛けられ、小学生に正恩氏歓迎のはがきを書かせる団体も登場したそうです。

 聖人君子どころか異母兄を残虐に殺害した疑いが濃厚な人物に小学生はどんな歓迎の言葉を書くのか…。読んでみたい気がします。

 ソウル訪問計画に関しては、ご苦労なことに、号外用の原稿を出していた日本メディアもありましたが、北朝鮮に限らず、独裁体制の国との合意=実現と考えてはいけません。

 正恩氏のソウル訪問は文大統領の平壌訪問に比べれば格段にハードルが高い。

 南北分断後、北朝鮮が起こしてきた数々のテロ、ラングーン事件、大韓航空機爆破事件、哨戒艦撃沈事件などへの謝罪はあるのでしょうか。文在寅(ムン・ジェイン)政権が謝罪をきちんと求めるのかどうか。多分しないでしょう。

 韓国は三権分立が確立しているとは、とても言いがたい国ですが、曲がりなりにも表現の自由が認められた民主主義国家です。正恩氏訪問を批判するデモや報道は政権がどれほど阻止しようとしても必ず出てくるはずで、正恩氏がそれらをどう受け止めるか、(文大統領に八つ当たりしたりして)という問題もあります。

 文大統領は2日、正恩氏のソウル訪問について「年内に実現できるかどうかは金正恩氏の決断にかかっている」とまだ可能性はあると発言していました。

 それよりも最低賃金引き上げなど肝いりのはずの経済政策が裏目に出て雇用環境が悪化、支持率は下がり気味です。こうした中で豪華な宴など催したら、国民の支持は離れるでしょう。

 それでも正恩氏の韓国訪問準備に余念がないかと思いきや、文大統領はG20首脳会議前の11月末にはチェコを訪問していました。

 訪問の目的は韓国製原発のセールス。原発事故を扱った映画「パンドラ」を見て脱原発派となった文大統領ですが、矛盾は感じないのでしょうか。保守系紙は「国内で安全性に問題があるからと脱原発を掲げながら、外国でセールスの話ができるのか」と批判しています。

 そういえば、李明博(イ・ミョンバク)元大統領もアラブ首長国連邦(UAE)で原発建設事業のトップセールスを行い、受注にこぎ着けていました。「積弊清算」の名の下に前政権のやったことは何でも否定、ちゃぶ台返しをしている文政権ですが、原発セールスだけは例外なのでしょうか?(kamo)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。12月のお題は「聖」です。