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防衛問題研究家・桜林美佐氏 防衛費は増えているのに…「兵站の危機」自衛隊の物資不足を放置するな

 ここ数年、おかしな現象が起きている。防衛費は増えているのに、各地の自衛隊を見ると、老朽化して動かなくなった装備品や、故障したままの車両などが「増えている」のだ。軍というのは、装備や人員がどれだけ「すぐに動ける」状態にあるかが肝であり、そこに個々のモチベーションが加わって初めて戦力となる。

 20~30年前の装備をだましだまし使い、更新もされないまま放置されている環境で、隊員たちが果たしてどれだけ意気軒高でいられるのか。それは想像にお任せするが、私がこうした実情を極力控えめな表現で訴えるのは、わが方の欠点を白日の下にさらしたくないからだ。弱点を明らかにすることになるし、隊員募集の足を引っ張ることになる。「言いたいけど、言えない」。そんな心境だ。

 しかし、そんな私の姿勢をたしなめるかのように、この現実を批判する声が、他のさまざまな分野の方からも出るようになり、2018年11月の臨時国会でも「自衛隊のトイレットペーパー問題」が取り上げられるに至った。岩屋毅防衛相が「隊員の負担ということにならないように」したいとの答弁をされたようで、ありがたいことではある。

 しかし、皆さんお分かりとは思うが念のため申し上げると、特に陸上自衛隊におけるトイレットペーパーは、あくまでも「あらゆる物品不足の象徴」であり、これを機にトイレだけに予算を配分するようなことでは困るのである。

 弾薬は足りているか、さまざまな補用部品は十分か、トイレ問題の本質は「兵站(へいたん)の危機」と知り、深く切り込まねばならない。

 官側が今後、国会で言われたからとトイレだけに躍起にならぬよう、むしろ隊員が自腹で補うことのできない重要品が不十分ではないのか、総理をはじめ政治サイドから目を光らせてほしい。

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