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【富坂聰 真・人民日報】金正恩氏、4回目電撃訪中の意味は? アメリカの“放置”に不満 (2/2ページ)

 つまり、北朝鮮はアメリカの“放置”が不満なのだ。まあ、同じ時期、ポンペオ国務長官とボルトン大統領補佐官を派遣している中東の方が忙しいのだろう。

 問題は、トランプ政権の対北朝鮮政策をアメリカのインテリ層が支持していないと北朝鮮が考えていることだ。政権が代われば再び米韓合同軍事訓練が開始され、圧力にさらされると。

 だからこそ平和条約を必要としているのだが、それは一にも二にも経済建設に安心して進む環境づくりのためだ。

 実は、中国はすでに北朝鮮が本気で経済建設に向かうと見定めている。

 米朝首脳会談からの1カ月、北朝鮮が伝えた金正恩委員長に関する視察9本のうち、8本までが経済建設の現場視察だった。ジャガイモパウダー工場の視察では、ジャガイモの山に座り撮影された。かつてのミサイルの街、元山がリゾート開発の対象にもなっている。

 実は、北京には北朝鮮からの出稼ぎ労働者が目立ち始めている。

 つまり、中国はすでに独自の判断で制裁を解除してしまっているのだ。今回の金正恩委員長の訪中は、気まぐれなアメリカを待たずに、アジアが自らの利益を追求し始めたという象徴的な動きなのだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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