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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】力強く握り“先制”…意外に大きい「握手の効用」 (1/2ページ)

★交渉術の極意(9)

 相撲の立ち合いと交渉事の入り口は、その成否においてよく似ている。相撲で立ち遅れれば、土俵際にズルズルというケースが多い。双葉山の相手の立ち合いを見て立つという「後の先(ごのせん)」などは、よほどの達人以外は通用しない。交渉事も相手に機先を制されると、話の主導権を挽回することは、なかなか難しくなる。

 そこで、田中角栄がしばしば外交交渉などの真剣勝負の場で見せつけたのが、迫力に満ちた握手による“先制”ということであった。

 その「握手の効用」を、田中の秘書だった早坂茂三(のちの政治評論家)から、こう聞いたことがある。

 「オヤジさん(田中)の手は野球のグラブみたいで、ちょっとゴツイが、掌(たなごころ)は柔らかい。外交交渉の勝負の場では、もとより負けは許されない。勝機をつかむタイミングも、一瞬しかない。オヤジさんは、まず交渉相手の目を凝視、そのうえでガシッと音がするくらいの力強さで握手に出る。それこそ、列車が連結するときのような力強さだ。相手は、手がシビれるらしい」

 「相手はこの握手で、強烈な先制を受ける一方で、この男は全力投球、体当たりでこの会議に臨んでいることを知ることになる。当然、相手も真剣勝負とならざるを得ないということだ。オヤジさんの大小の交渉事には、随分立ち会ったが、勝因の一端に、私はあの力強く握る先制の握手を見ていた」

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