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【富坂聰 真・人民日報】米国の「対中投資」は慈善ではない…利害一致がもたらした“米中蜜月” (2/2ページ)

 中国に製造拠点を移した企業の製品がいかに安価になったかは、日本の100円ショップの隆盛をみれば明らかだが、それがどれほどの勢いでアメリカ市場に浸透していったのかは、2000年代半ば、中国の毒食品が話題になったときに叫ばれた「チャイナ・フリー」で、ほんどの日用品がメイド・イン・チャイナだったという現実に気づかされたことを思い出せばわかりやすい。

 毎年、GDPの約70%を個人消費が占めるアメリカ経済のことを考えれば、これがどれほど大きな影響かは自明だろう。

 つまり、日本の対中強硬派が快哉を叫んだペンス副大統領の演説の中で触れた、「中国への投資」は、もくろみ通りの役割を果たしたことになる。

 世界から生産基地をかき集めた中国は、その蓄えた富を米国債を買い入れることでアメリカに還元した。これは日本にも覚えのあることだ。

 続いて中国は、「世界の工場」に加えて、「市場」としての顔を持ち、輸入を拡大していく。

 アメリカの最大の貿易パートナーとなり、米中の貿易額は、日米の貿易額の約3倍に膨らみ、東南アジア各国にとっての最大の輸出先になってゆくのである。

 2002年ごろからは中国の成長が日本の構造不況産業を一気によみがえらせるのを日本の企業経営者たちは目の当たりにする。

 同時に、国内では対中警戒論が高まるが、その中国の台頭を「ステークホルダー(利害関係者)」という言葉で温かく迎えたのがアメリカではなかったのか。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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