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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】緊急地震速報の限界 「直下型地震」には対応しにくい (2/2ページ)

 揺れる前に鳴った人は札幌・江別で400人中22人、苫小牧・千歳で200人中6人、震源のある日高・胆振の4町では61人中1人だった。

 つまり、震源近くほどアラームが地震発生に間に合わず、厚真(あつま)町や安平(あびら)町などでは速報が携帯電話などに届く前に揺れが地表に伝わった。直下型地震は緊急地震速報が間に合わないことがあらためて示されたのだ。

 そもそも緊急地震速報の最大の問題は、警報が間に合ったとしても警報を聞いてから地震が来るまでにほとんど時間がないことだ。

 恐れられている南海トラフ地震が起きたときに、横浜で10秒ほど、東京でも10数秒しかない。しかも遠くなるほど地震の揺れも小さくなるから、20秒以上になるところで知らせてくれても警報の意味がなくなってしまう。

 走っている新幹線はこの時間では完全に停止することは出来まい。工場でも大きな機械を短時間で止めることは不可能だ。手術中の病院でも、これだけの時間では手術を止めることはできないだろう。

 海溝型地震でも多くの場合、最も震源に近い海岸近くの地震計で揺れを感じてから計算を始める。つまり、いちばん揺れが大きくて危険な地域には、この緊急地震速報は間にあわない。

 緊急地震速報には大きな限界があるのだ。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。頃の警戒も必要だ

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