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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】“詫び状”で「うるさ型」を感心させた (1/2ページ)

★「親分力」の磨き方(3)

 前回に続く、部下、周囲から慕われる「親分力」としての要諦、素直さについてである。時に、部下の指摘が図星なら聞く耳を持てるか、自らの過ぎた言動に気がついた場合、速やかに詫(わ)びることができるか。「強いばかりが男じゃない」ということだ。こうした素直さは、その上司の器の大きさ、度量と置き換えることができる。

 田中角栄が自ら頭を下げ、“詫び状”という手段を使って、相手を虜(とりこ)にしてしまったのは、まだ40代初めであった。すでに郵政大臣をやり、自民党副幹事長として岸信介内閣の日米安保条約改定に馬力を発揮した後の、第2次池田勇人内閣下で、党の水資源開発特別委員長のポストにあったときである。

 水資源はダムの建設など、各省の利害が複雑に絡むことから、委員長の采配は何とも難しい。案の定、建設省色の強い田中委員長の采配に、「農林族」からクレームがついた。ついには重政誠之(しげまさ・せいし)という、当時の農林族の大ボスが激高、田中とつかみかからんばかりのやりとりとなった。

 それから数日後、重政のもとに田中から、巻紙の和紙に墨痕鮮やか、次のような内容の“詫び状”が届いたのであった。

 「先輩に対する暴言、非礼を、心からお詫びさせていただきたい。ただ、これもこの国の水資源の必要性を感じたがためのものであったと、ご理解いただければと存じます」

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