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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「ちょっといい話」》自分に嫉妬するくらい上手-堺屋太一さんの笑顔 (1/2ページ)

 「忠臣蔵だけでなく、元禄時代というのを実によく書いている。自分に嫉妬するくらい上手ですね」

 2年ほど前、取材で1度だけお目にかかった作家の堺屋太一さんが、自作の『峠の群像』(昭和56年刊)について語った言葉だ。ちょうど『堺屋太一著作集』(全18巻、東京書籍)の刊行中で、書き下ろし解説を執筆するために読み直したところだという。

 赤穂事件を題材とした『峠の群像』は、NHK大河ドラマにもなった。「飛脚を登場させて、情報がどう伝わったかを書いたり、(豪商の妻の)着物比べの場面と世間の反応を描いたり、江戸、大坂、赤穂の3つの拠点を結んで、なかなかよくできている」(堺屋さん)

 誰も取り上げていなかった豊臣秀吉の弟、秀長を描いた『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』、金貨、銀貨と引き換えられない不換紙幣を初めて作ったという話を書いた『世界を創った男 チンギス・ハン』。また、世界10カ国語に訳された評論『知価革命』は、第3次産業革命以降の世の中を見事に描き、「物の時代」から「知恵の時代」に変わることを予言した書物です-。

 百作を超える中から、「いつ読んでいただいても、古くなっていないもの」を残したという著作集の魅力を、著者自身の口で語ってくれた。訃報に接し、「ちょっといい話」として紹介するのは不謹慎だが、無邪気といえるような笑顔で、うれしそうな様子が強く印象に残った。