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【富坂聰 真・人民日報】米中対立で日本企業にも負の影響… 中国は「脱米国」の流れに突入か (2/2ページ)

 2つの太い柱が同時に勢いを落したのは、経済が成熟したことによる影響なのか。それとも米中貿易摩擦による一時的な落ち込みなのか。それを見極めるのも簡単なことではない。

 11月から12月にかけて部品のニーズが急激に落ち込んだのは、広東省など、対米貿易で利益を上げてきた企業が、新たな投資を手控えたことがある。

 体力のある国有企業はまだしも、民間企業はトランプ政権の対中政策に不安定さを感じているようで、たとえトランプ大統領と習近平国家主席の会談が実現し笑顔で握手することがあっても、それが一時的に終わることを恐れている。

 大きな投資ができる環境が失われたと考えているのだ。

 変わり身の早い中国の民間業者の中には、工場を畳んで得た現金を早速海外の不動産投資に振り向けているところもある。

 いずれにしても中国人は、アメリカの市場を当てにすることなく生きてゆく決断を迫られることになる。

 これは中国には大きなダメージだ。しかし一方で心配されるのが、中国の体質がすっかり変わってしまうのではないかということだ。

 つまり、結果として中国が「脱・アメリカ」を果たすプロセスに入ってしまうことを意味するからだ。

 先週、私は「アメリカの大きなプレッシャーの下で、中国自身に変化するメリットをきちんと理解させる」と書いたが、アメリカはそのプレッシャーを手放すことになりかねないからだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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