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北朝鮮のニューリッチが首脳会談失敗で「ひと安心」する理由 (3/3ページ)

 「最近、米国のトランプ大統領が朝鮮と非核化の交渉がうまくいけば、金正恩氏が朝鮮を経済大国に発展させるだろうと発言したことを(韓国の)ラジオで知り、トンジュたちはかなり驚いた様子だった」(情報筋)

 改革開放が始まれば国内に少なからぬ混乱や動揺が生じ、違法な手段で荒稼ぎしてきた自分たちが、命を危ぶむほどの状況に追い込まれるのではないかと心配しているというのだ。当局がゴタゴタを収拾して自分たちが生き残るために、トンジュを悪者扱いして粛清するのではないか、との懸念である。

 トンジュたちは、利権を得ると同時に、命を守るためにお上にせっせとカネを貢いでいるが、どうあがいても最高指導者の手のひらの上で転がされていることには変わりないことを、よくわかっているのだ。

 龍川の別の住民は、トンジュの不安を次のように伝えた。

 「金持ちは戦争を怖がっている。今は金儲けするにはいい時代だが、情勢が変われば(すべてが)変わる。体制が変われば国はトンジュから先に処刑する」(ある一般庶民)

 現地で密輸を行っているトンジュたちは、川の氷が溶けて密輸が再開できる春に向けて、船の整備に熱心だが、それも「万が一に備えていつでも脱北できるように準備しているという側面もある」(同上)とのことだ。

 そんなトンジュたちは、会談失敗の報を耳にしたら、小躍りして喜ぶのだろうか。

デイリーNKジャパン

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