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【大前研一 大前研一のニュース時評】スケールが小さい日本の「独占禁止法例外規定」 グローバル経済に追いついていない公取委 (1/2ページ)

 5日の日経新聞に「政府が独占禁止法の例外規定を盛り込む新法を検討」という記事が載っていた。人口減少で地方銀行や地域乗り合いバス事業者は年々経営基盤が弱まり、統合による効率化が避けられない。しかし、これに公正取引委員会が独禁法の観点から「待った」をかけるケースも多い。そこで、統合を認めやすくすることで地域社会を支える金融・交通サービスが失われるのを防ぐという。

 独禁法が米国で始まったのは、主にメーカーやサービス業が寡占をして値段を吊り上げ、不当な利益を得るのを防ぐためで、価格がポイントだった。ところが、現在起きている2つの現象は、価格以外のことだ。

 1つは、国内で大きなシェアを持つ企業が世界のマーケットで競ったとき、規模の違いから手も足も出ないケースがあるのに、日本の公取委は大きな会社同士の合併を認めない。グローバルのシェアというものをまったく反映してくれない。

 世界最大の鉄鋼メーカー、アルセロール・ミッタルのような巨大な相手と戦うには、日本のトップ2の新日本製鉄と住友金属工業が一緒にならなければダメだということで、新日鉄住金が生まれた。2012年のことだ。これだって、公取委に何度もお願いをし、何度も説明をして、やっと実現したものだ。

 もう1つ。独占というと、米国のIT企業のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのGAFAが思い浮かぶが、これらの企業は独占にあぐらをかいて値段を吊り上げているわけではない。むしろ、下げている。例えば、アマゾンは米国では本の値段を大幅に下げている。独占で値段を下げ、それで顧客を引きつけて情報を集め、それをうまく束ねて販売チャンネルとしての効率を上げることによって稼いでいるわけだ。

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