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【東日本大震災から8年 忘れない、立ち止まらない】「遺構保存」で住民対立 “同等の重み”持つ両者の言い分を報道する苦悩 (1/2ページ)

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 東日本大震災で被災し、当時の町長ら職員39人が犠牲になった岩手県大槌町の旧役場庁舎をめぐり、解体を進めたい町と、遺構として保存を求め解体差し止め訴訟を起こした住民との間に、昨年から今年にかけて激しい対立が起きた。

 最後は「解体」と決まったが、町民も「津波を思い出してつらい。ずっと壊してほしかった」という声と、「震災を伝える大切な“証人”なのに」という声に分かれ、町の対応のあり方も問題視されるなど、遺恨を生む結果となったことが気がかりだ。

 地域の分断につながりかねないこうした論争は、8年前に“被災地”となってから、おそらく、どの自治体でも大なり小なり起こってきた。

 私が取材を担当する陸前高田市においても、遺構保存については大槌と同じく、地域住民の意見は真二つに割れた。

 同市では発災翌年から被災公共施設の解体が相次いだが、そこで犠牲となった人も多かったことから、「検証も済んでいないのに壊すのか」と遺族らが反発。一方で「前に進むためには解体すべきだ」という人も多かった。

 同市の「奇跡の一本松」の保存に関しても同様だ。

 寄付を1億5000万円集めてモニュメント化したことについて、まちの“アイコン”として歓迎する声もあれば、今も「松より後回しにされた」と納得していない人もいる。2年前には、全壊した市役所の新庁舎をどこに建てるかが議論となり、現在の中心部に建設するという決着を見たあとも、反対派の不満はくすぶり続ける。

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