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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「贈る言葉」》北海道地震…自然は人を選ばない (1/2ページ)

 「自然は無慈悲だ。いつでも不機嫌になる。人を選ばない」

 新聞記者をしていると、「あ、いい言葉に出会えたな、記者をしていてよかったな」と思う瞬間がある。この言葉は、重い意味もある。北海道胆振東部地震で36人もの犠牲者を出した、厚真町の宮坂尚市朗(しょういちろう)町長(63)が、地震から半年のインタビューで語った言葉だ。

 犠牲者の中には、同僚だった町職員もいた。この職員は地方創生総合戦略を策定、町長と少子化を食い止めるために二人三脚で移住定住を進めてきており、60歳の定年のところを町長が引き留めた。農業を柱にすえた推進策だったため、この町職員は一昨年、住んでいた市街地から農村地域になる吉野地区に移住したという。そこに、大規模土砂崩れが襲った。

 亡くなった町職員は町長と同い年。友人であり同じ目的のもとで戦ってきた同志だった。彼の退職を慰留したことが死につながったのではないか、と自問自答しただろう。そんななかでの町長の言葉だった。

 これまで記者として、東日本大震災では津波が目前で家族をさらった人にお話を伺った。不慮の事故で家族を失った人、犯罪に巻き込まれ、大切な家族を奪われた被害者遺族の取材した。

 無垢であっても、どんなに徳をつんでいても、抗えない力で人の命は奪われる。悪行を重ねていたとしても生き残る。自然は人を選ばない。