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【大前研一 大前研一のニュース時評】行政手続きの電子化はいいが…肝心なことがわからない「デジタルファースト法案」 (1/2ページ)

 政府は15日、行政手続きを原則、電子申請に統一する「デジタルファースト法案」を閣議決定した。例えば引っ越しの際、ネットで住民票の移転手続きを済ませば、電気やガスの契約変更も一元化されるほか、法人設立の手続きなどもネット申請できるようになる。今国会での成立を目指す。

 私はかねてから「国民全員にIDを持たせ、税金や社会保障だけでなく、運転免許証やパスポート、医療情報まで、1つのIDで一元的に管理するコモンデータベースを構築すべきだ」と提唱してきた。

 2014年には、北欧バルト三国の電子政府先進国エストニアを訪問した。この国は世界で最も進んだ国民データベースを構築しており、国民はICチップの入ったIDカード(身分証明書)を所持することで、結婚、離婚、不動産取引以外のすべての行政サービスをスマホひとつで完結することができる。日本のマイナンバー制度が恥ずかしく思えるほどだ。

 日本はいまごろになって、新聞の全面広告で「エストニア見学ツアー」なんて募っているが、遅いうえに、トンチンカンだ。つい1カ月前には「マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする」と言っていた。その舌の根が乾かぬうちに「デジタルファーストになると、これまで証明書として活用してきたマイナンバーや紙製の通知カードを廃止する」ときた。ちょっと待ってくれ、と言いたい。

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