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【富坂聰 真・人民日報】習政権「脱貧困」政策のもう一つの意味 消費者を増やし不動産価格を調整 (2/2ページ)

 だが、体質改善を進めるなかで、不動産価格が暴落し下げ止まらないなどの状況に陥れば最悪である。

 不動産の取引は地方政府の歳入と直結し、万が一、実体経済へも影響が及べば、消費マインドも一気に冷え込む。

 生まれかけていた第三次産業はつぶれてしまいかねない。

 だから不動産価格は、暴落しないよう上手に調整しなければならない。

 どのメディアも注目していないが、習近平政権が掲げる「脱貧困」の政策は、この不動産価格の安定材料としての役割もあると考えられるのだ。

 貧困者の救済といえば政治的な意味で受け止められがちだが、実はこっちの効果も大きいのだ。

 というのもここの数年戸籍のない中国人--いわゆる黒戸口--に戸籍を与える試みを続けてきた中国では、面白いことに戸籍を手にした瞬間にマンションを購入する者が多く確認されているからだ。

 このことは、「貧困層を底上げすれば消費者になる」ことも意味し、中国には明るい材料だ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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