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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】地震もなくいきなり大津波が… 500年前に徳島で起きた悲劇 (2/2ページ)

 規模が大きいものもある。1929年に米国東岸で起きたものはマグニチュード(M)7・2のグランドバンクス地震が引き金を引いた。この地震がカナダの大西洋岸のすぐ沖で起きたときに、カナダの大陸斜面にあった12本の海底電線が、上から次々に切れていったのである。海底電線だから、切れた時刻が記録されていた。13時間かかって28カ所も切断された。順番に海底電線が切れていったのだ。地滑りが走り抜けた速度は最大で時速100キロメートルを超えていた。

 いちばん上の海底電線から一番下までは1100キロも離れていた。東京から稚内の距離よりも長い。このときに海底で起きた地滑りは広さが2万平方キロメートル、体積は200立方キロメートルという途方もない量だった。2万平方キロメートルとは東京都の10倍にもなる面積だ。

 徳島沖以外にも、地滑りの痕跡は南海トラフ沿いに無数にある。

 たとえ体に感じないほど小さな地震でも、あるいは地震が起きなくても、地滑りが起きて津波に襲われる可能性があるのだ。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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